2012年05月29日

暮れなずむ豊川にたたずむふたり・・・

仕事終わって帰宅するなり

珍しく早番だった次男がわたしを待ち構えていた。

「オヤジィ 釣りに行こうぜ!」

「こんな時間からどこへ行くんだい」

「豊川の河口でウナギが釣れてるんだよ!」

「ご飯ぐらい食べさせてくれよ!」

「今の時間が一番時合いがいいんだよ!」

「何も支度してないぜ!」

「大丈夫!仕掛けもエサも準備万端だぜ!」

さすが!釣り道具屋で働いてるだけのことはある!

わたしは缶ビール片手に次男の運転する車の助手席に乗り込むだけだった。

暮れなずみゆく豊川のほとりには釣り人が点在していた。

ホタルのようにほのかに光る竿先があやしげに揺れている。



初夏のようなたおやかな夜、豊川界隈は暑くもなく、寒くもなく、そして風もない。

上流から流れてくる清水と

満ち潮に乗って河口から流れてくる海水とが混じり合い

絶好のポイントとなる潮の境目が

穏やかな流れの中に見る事が出来る。

しかし幾度となくそのポイント目掛け竿を振り込んでも

釣れない どころかアタリさえありゃしない。

ガセネタかっ!と次男にツッコミを入れようとした時

次男の竿先のホタルがよりあやしく揺れた。

上がってきたのは本命のウナギだったが

悲しいかなまだ子供だった。

そっとリリースした。

結局釣れたのはその1尾だけだったが

息子と並んで河岸に腰をおろし

あやしく光るホタルを見つめていた時間は

何ともココチヨイ気持であった。

それは空きっ腹に飲んだビールのせいだけではないだろう。  


Posted by 周ちゃん at 14:56Comments(2)