2011年02月06日

夜更けの大衆酒場!

その店に着いた時、時計は午後7時を5分ほど過ぎていた。

はやる気持ちが足早にさせたのか

よこしまな気持ちが歩幅を大きくさせたのか

約束の時間にはまだ随分ある。

駅前再開発によって、景色が変わってしまった街角を

時間をつぶすためにフラリフラリと歩く。

ハンチングを目深にかぶり、チョイ悪オヤジを地でいくツレは

たばこの吸い場所を求め彷徨っている。

一服し終えた後その店に戻ると

仲間もサンサンゴゴ集まりだしていた。

週末の大衆酒場はひといきれでむせかえっていた。

エジプトで反政府デモが起きていようが

八百長問題で角界が揺れていようが

笑いと歓声がアチラコチラで沸き上がり

人々の頬はだれもかれもが赤ら顔だ。

僕は空腹とのどの渇きに耐え、宴の始まりを今や遅しと待っていた。

やがて生ビール、焼酎、梅酒、カクテル、オレンジジュース

そして極め付きのコーヒー牛乳までが仲間の手元に運ばれ宴の始まりだ。

おもむろにリーダーが立ち上がり乾杯の音頭をとる。

10人を超す仲間たちがケータイ電話を彼に向けフラッシュを浴びせる。

事の成り行きを知らない周りの客たちにしてみれば異様な光景だろう。

僕は生ビールを3回おかわりする。

ボリュームある料理が次から次へと運ばれてくる。

僕は麦焼酎のロックを3回おかわりする。

これで4000円でお釣りがくるのだ。

大衆酒場は僕らの味方だ。

パソコンの画面上でしか知らなかった人達が目の前にいる。

隣りにいる。そして直接言葉を交わす。

そこにはもう不安も、羞恥も、ましてや恐怖などあるはずもない。

リーダーの乾杯の音頭は「この縁に感謝しましょう!」だった。

〆のラーメンをほおばりながら僕はぐるりと見回しそしてうなずいた。

大衆酒場が熱すぎたからなのか

みんなの優しさと思いやりが心の中を包み込んだからなのか

暖簾をくぐり外に出ると

駅前の雑踏の中にまちがいなく春の気配が漂っていたような気がした。  


Posted by 周ちゃん at 14:35Comments(8)